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北海道二人旅ツーリング
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1日目 8月27日
「おっす、おいらシビタ!」
「僕はかずぼう!」

「今回のツーレポは、おいらとかずぼうの会話形式により作成するぜ!みんなヨロシクな!」
「ちなみに僕のセリフは黒」
「おいらのセリフは青色で表示されてるぜ!」


「買ったばかりの振り分けバッグ,低重心で安定してて中々良い感じだぜ?奮発したかいがあったな!」

「気に入ってもらえて嬉しいね!僕も後ろの視界が良くて走りやすいな。荷物がお尻に触る事も無いし。」

「それよりよぅ、環八に入ってからどうも喉が乾いて仕方が無いんだけどさぁ。もしかして冷却水漏れてない?」

「う〜ん、そうだね、さっきから水温が100℃から下がらないもんね。おかしいな、昨日入れたはずなのに…?」

「まぁ、キリのいい所で一休みして補給してくれよ。」

「とか言って、宇都宮まで来てやっと一息か!しかも最高速トライアルなんかしやがって、死ぬかと思ったぞ!」

「あんな3車線の直線で、やるなと言う方が無理だよ〜。それに、飛ばしてたから水温も80℃位だったじゃん。」

「まったくもぉ…。良いからさっさと補給してくれよな。それにしてもどっから漏れてんだろうな?」
「お前、自分の体の事も分からないのかよ?」
「うっ、うるせぇ!第一お前がメンド臭がってバイク屋に連れてかねぇからだろっ!」

「よしっ、Upperラインよりもちょっと上まで入れたし、これでしばらく大丈夫だろ。」

「…ぶつぶつ…。」

「仙台に着いたよシビタ。だいたい5時間くらいかな?」

「そのくらいだな。ところでさ、お前金持ってるのかよ?さっき2千円くらいしか持ってなかったろ?」

「そういえば…。はっ!今日は日曜日じゃん!しかも5時前、ATM開いてるかなぁ?」

「仙台は大きな街だし、大丈夫じゃないの?」
「そうだといいんだけど…。」

「あのさぁ、俺達迷ってねぇ?」

「迷ってるね、お金も下ろせなかったし…。フェリーの中のこと考えると晩飯は控えておいた方がよさそうだね。」

「俺の飯はカードで払えたから良いけどな。出航の22時まで時間が有って暇だけど、さっさと先に進もうぜ!」

「あぁ腹減ったなぁ…。…ぶつぶつ…。」


「やっと着いたぁ〜!まだ六時じゃないの…。んじゃ、チェックイン行って来るよシビタ。」

「おう、さっさと済ませてくれよな。」


「これで後は乗船するだけと…あれ?周りに並んでたバイクが消えてる!どうして?」

「…あのさ、22時じゃなくて20時出航だってよ!前の電光掲示板に書いてあるぜ?お前時間間違ってたろ!」

「うぎゃぁっ!そうだったのか、早めに来ておいて良かったねシビタ(汗)。」

「全く、金が無くてどこにも寄らなかったのが幸いだったな。この調子じゃ先が思いやられるぜ…ぶつぶつ…。」

「ぼやくなよシビタ、この船から下りたらそこはもう大陸なんだからさ。着いたら前向きな気持になるよきっと!」

「そう楽天的に言われると余計に不安になるってもんだ。」
知る人ぞ知る、海への入り口(?)
2日目 8月28日 (最上段へ)
苫小牧には着いたけどよ、この雨じゃとても前向きな気持になれないんだけどよぉ?」
「着くなりいきなり雨だモンなぁ…。カッパ着る暇無くて中が濡れたままだし、気持悪い〜!」

「そういや昨日はほとんど眠れなかったんだって?微妙な揺れと旅の期待でかぁ?居眠りするんじゃねぇぞ。」

「そうなんだよね
zzz。」
「言ってる傍から寝るんじゃねぇ!脇に停めてちょっと休め!」

「それにしても、雨だっちゅうのに走る車みんなペースが速いな…。」

「この調子だともっと走れそうだね。旭川じゃなくて層雲峡あたりまで足伸ばそうか。」

「その方が良さそうだなぁ。でも、相当疲れてるようだけど大丈夫か?お前体弱いんだから無理するなよ。」

「まぁ、温泉に入れば元気になるさきっと!」

「いいなぁ、おいらはこの雨でドロドロだぜ…。おいらも洗ってくれないかな…ぶつぶつ…。」
もう、ドロドロ…
3日目 8月29日 (最上段へ)
「よぉ、どうだった?層雲峡の温泉は?」
「いやぁーすごかったよ!めちゃくちゃ熱いのなんの!5分ですっかり茹で上がっちゃった。」

「余り長く入るとすぐにのぼせるんだから気を付けろよ?一度死にかけたんだろ?」

「でもすっかり疲れは取れたよ!さぁて、目指すは大雪山系一周だ!とりあえず帯広目指すぜー!

「天気もすっかり良くなった事だし、今日は昨日のリベンジだぜー!」

「今さ、音根湯って標識あったけど、ルート上にあったけかな?」

「行き先も網走って出てきてるし…もしかして?」
「迷ってる!」「迷ってる!」
「あちゃぁ〜、だとするとかなり行きすぎてるぜ。ざっと70kmは走っちゃったな。」

「こうなりゃ、もうルート変更しかないねぇ…。」

「ま、こういうのも旅の面白さってもんさ。気にするなかずぼう!」

「じゃぁ、知床半島を目指す事にするか!どっちにしろ行く予定だったからね。」

「右回りか左回りかの差だよな!それにしても、ちょっと行きすぎるととんでもなく走ってる…。」

「道がまっすぐでスピード出るし、景色が良いからついつい走り続けるんだよね。」


サロマ湖でなにか美味いもの食っていこうよ。」

「…悪いんだけどさ、ガスがかなりやばいんだ。この先GS無いようだし、戻れないかもしれないぜ?」

「うっ、こんな時に!北海道ってGSの間隔長いよね―!しょうがない、サロマ湖はパスして能取岬に向うか。」
能取岬。先っぽに灯台が見えていました。
「カニ味噌ラーメンは美味かったかよ?」
「カニ味噌入りのラーメンかと思ったら、カニが入った味噌ラーメンだった…。それでも美味かったけど。」

「さぁて、これからいよいよ知床半島へのルートに乗るぞ!また林道じゃなければ良いけどな。」

「さっきはいきなりジャリ道が始まってビックリしたよね。結構面白かったねー。」

「ほこり被りながら走るこっちの身にもなってくれよな、ったく…。」

「なんか真っ直ぐな道にも飽きてきたなぁ…。」

「ちょっと遊ぶか!さっきから周りに車いないようだし!それっ!」

「うぉっ、ローリングかよ?小僧だなぁまったく…。ん?おい、ミラー見てみろ、かずぼう!」

「あ、180SXが後ろに!いつの間に来てたんだ?やべーっ挑発してるように見られたかな?」

「兆度良い、飽きてたとこだし、いっちょかっ飛ばすか!」

「道も高速コーナーで面白いし、行くぜシビタ!」

「140km/hまで飛ばしたら付いて来なくなったね。」

「もうちょっとからんでくれれば面白かったのになぁ…。」

「これから知床五湖に行くんだけど、大人しく駐輪場で待ってろよ?」

「お前も熊に食われないように気をつけろよー!」
湖は見えませんが知床五湖です。
「で、どうだったよ、知床五湖は?」
「マジであったよ、ヒグマに注意してくださいって看板!遊歩道1人で歩く時があってさ、すっごく怖かった!」

「まぁ、あんな人が沢山出入りする所にそうそう現れるもんじゃないとは思うけどな。景色はどうだったい?」

「上高地の方がずっと綺麗だったね。2つ目の湖で引き返したよ。」

「と中でくたばったんじゃないのかぁ?それとも熊が怖くて逃げ出したんだろー?」

「うるさいなぁ、この先羅臼まで行くんだから、そうそうゆっくりしてられないんだよっ!」

「うっひょぉーっ、面白いなこの道路は!」

「そうだろー?ここは絶対走るって決めてたんだ。その名の通り知床半島を真っ二つって感じだよね。」

「直線120km/hで飛ばしても全然危なげないぜ〜?北海道には低中速コーナーは無いのか
?」

「早めに半島横断しちゃったね。ちょっとぶらぶらして東海岸先っぽの相泊まで行ってみるか。」

「そこで宿泊って事になるかな?」

「でもなぁ、民宿とかあるのかな、この先…。」

「そういえばおいらの燃料も底を突きかけてるぜ?またかよっって感じだよなぁ。」

「タンク容量増やせないのかよー?」

「無茶言うな…。」
相泊からみた国後島。
「ひゃぁぁ、本当にひっそりとした所だったなぁ…。」
「あんな所でガス欠になった日にゃ目も当てられん。ところで、なんであそこの民宿に泊まらなかったんだ?」

「昔は民宿にガンガン飛び込んでたんだけどね。なんか最近勇気が要るようになってきた…。」

「ふ〜ん、それだけかよ?まだなんか理由がありそうだなぁ。しかもくだら
ないの。」
「な、なかなか鋭いじゃないの。まぁ、明日になれば教えてあげるよ…。」

「じゃぁ、羅臼まで行って泊まるか。親父へのお土産送るの忘れるんじゃないぞ?」

「判ってるって。羅臼こんぶと熊の肉でも送ってやるか。」


「おぉ!すっごいカチアゲマフラーのCBだなぁ!しかも俺と同じ年式じゃないの!」

「本当だ、雨の日とかどうするんだろうね。絶対中に入って行ってるよ。」
「S-Forceのメンバーじゃ無いだろうな…。」
4日目 8月30日 (最上段へ)
「今日の予定は?」
「開陽台、摩周湖、美幌峠、釧路湿原、そして襟裳岬で宿泊!」

「おいおい、欲張ってるなぁ〜。相当距離あるぞ、大丈夫か?」

「まぁ、ダメなら途中で予定変更するさ!」

「あれ?開陽台にはこっちに進むんじゃないのか?」

「良いの良いの。ちょっと寄り道しようよ。野付半島ってところがかなり良いそうなんだ。」

「そういえばさっき会社の先輩と話してたな。こんな予定変更がすっと出来るってのはソロの持ち味だよな。」
野付半島の立ち枯れしたトドマツ。 左に同じく野付半島。かもめと一緒に一休み。
「両側が海で挟まれて、福岡の志賀島みたいだったね。砂浜で休んだ時にはかもめが沢山羽を休めてたね。」
「…もう少しでスタックする所だったじゃねぇの!お前、熊本・天草でもはまったんだろ?」

「あぁ、あの時はVTZだったね。まぁ、経験済みだから、もしはまっても自分で脱出できたよ、きっと。」

「くっ、この楽天家め〜!」

「それはそうと、立ち枯れしたトドマツの姿がなかなか神秘的だったね!」

「おめぇが立ち枯れしないように気を付けてくれよなっ!」

「さてとっ!次はお待ちかね、開陽台だ!」


「おぉぉ〜、凄い所だなここは!」

「聞きしに勝るって感じだね!下を走ってる時からボルテージ上がってたもんねぇ。」

「で、なんで写真撮らなかったんだ?」

「あのパノラマを撮ろうったって難しいよ。360度パノラマ機能付いてるけど、日差しが強くて…。」

「ま、上から眺めるのも良いけど、その景色の中を走ってる方が楽しいかもな!」
ミルクロードじゃないけど真っ直ぐな道でした。
「…おい、この道で本当に摩周湖まで行けるんだろうな?どうみても林道にしか見えないんだけど…。」
「ここは養老牛温泉だろ?間違い無いんだけどなぁ。まぁ、道も固そうだし大丈夫だよ、きっと。」

「っていうかかなり長く続きそうだぞ?燃料もちと心細い…。」


「やっと裏摩周についたけど、リザーブ入っちゃったな…。しかもこの辺GS無さそうだぞ?」

「林道走行で結構燃料使っちゃったのかもね。この先で1番近い川湯温泉までは…約20kmだね。」

「おいらのリザーブが確か1.5Lだから、燃費14km/L(!)として残り走行距離21km…。」
「やばいじゃん!」「やばいじゃん!」
「運を天にまかせるしかないねぇ…。」

「やぁ〜、下り坂はエンジン切って、登りはノロノロ走行で大変だったね!」

「でもなんとかGSまで辿り着けて良かったじゃねぇか!こんなにヒヤヒヤしながら走るのはもうゴメンだぜ…。」

「そういえば摩周湖の島を見る事が出来たよ。なんか曰く付きなんだって?」

「見たら婚期が遅れるらしいぞ?」

「別に構わないもんねぇ〜、へへぇ〜だ!」

「さて、美幌峠についたぞっと!知床に次ぐワインディングだったねぇ〜♪」

「評判のジンギスカン、さっさと食って来いよっ。」

「了解了解♪」

「いやぁ〜美味かったねぇ〜♪肉も美味いけどそれ以上に野菜が美味い!」

「良いなぁ、たまにはおいらにもハイオクでも入れてくれよぉ…。」

「燃費悪いくせにわがまま言うんじゃないの。それにお前はハイオク仕様じゃないだろもん?」

「うっ、それを言われるとなにも言えない…ぶつぶつ…。」
ここまでは気分爽快だったんだけどねぇ。
「これから阿寒湖に向う予定だったけど…大丈夫か、お前?なんか疲れてるようだぞ?」
「う〜ん、なんか体調悪くなってきた…。やっぱ初日の雨中走行がかなり効いてたみたいだね…。」

「じゃ、阿寒湖はパスして釧路湿原に直行するか。襟裳岬じゃなくて釧路に泊まった方が良いかもな。」

「そうするしかないね、この調子じゃ。」


「…じゃぁ、よろしくお願いします。」

「おろ?宿を予約したのかよ?予約なんて、ソロツーリングじゃ初めてじゃないかい?」

「到着して宿をあちこち探す気力も無いからねぇ。別にこだわってた訳じゃないから良いさ。」

「それじゃ、後は宿を目指すだけだなっ!」

「いや、それじゃあまりにつまらないから、ちょっと穴場に寄ってこうよ!」

「体調悪いとか言いながら、どっからその元気が湧いてくるんかねぇ?」

岩保木山とやらに着いたけど、また林道だよ…もう慣れたけどな。」

「あれ?あそこにCB750FCが停まってるね?先客がいるんだ…。」

「…こりゃすごい道だな…。俺じゃぁとてもこの道は走れないぜ?」

「FCの人もそう判断して歩いて行ったんだね。じゃぁ僕も歩いて行くとするか!」


「どうだった、山頂からの眺めは?」

「山頂と言うほどのものじゃ無かったけど、そりゃもう素晴らしく綺麗な景色だったよ!」

「おぉ、いつになく興奮してるじゃねぇか!それほど良かったか!」

「道路も民家も畑も何も無い湿原が広がっていて、原始の光景!翼が欲しくなったよ!今ぁ〜私のぉ〜♪」

「…満足したみたいで何よりだがな。それよりよ、待ってるうちにFCの人が降りてきたけど途中で会ったろ?」

「汗びっしょりで山頂から降りてきたんで、先の道を尋ねてみたよ。そういやジェベルも登ってきたね。」

「そのジェベルの野郎、おいらを横目にフッと笑って行きやがった。クッソ〜!」

「まぁまぁ、舗装路なら僕達の方がより速く走れるんだからさ、そう腐るなよ。」
岩保木山の林道。轍が深く柔らかいです。 非常に素晴らしい景色でした。今回のツーリングでNo1!
「やっと宿に到着!それにしてもわっかりにくい場所にあるよな。」
「ここでも1時間くらい迷っちゃったね。あまり楽しい迷い方じゃ無かったなぁ。」

「ところで今回も旅館だけど、その理由はなんだってんだ?」

「別に旅館じゃなくてもテレビがあれば良いんだけどね。まぁ、つまり…。」

「なんだ、早く言えよ。」

「松嶋奈々子のさ、3夜連続ドラマがあってさ〜!久しぶりにどうしても見たいと思ったドラマなんだよね。」

「なにっ!つまり、ゆっくりとテレビを見るためにって事かぁ!予約してくりゃ良かったんじゃねぇか。」

「だってビデオの予約メンド臭いんだよー!」

「まったく、北海道まで来て見ること無いじゃねぇかよ…。」

「明日は民宿に泊まるよ〜。富良野のログハウス!かなり面白そうなんだ!」

「まぁ、今日のところはゆっくり休んでまた明日元気に走ってくれよなっ!」
5日目 8月31日 (最上段へ)
「どうだ、体の調子は?」
「うぅ〜ん、朝起きたら良くなるだろうと思ってたら、あまり昨日と変わらないね…。なんか帰りたくなっちゃった。」

「それはまた、珍しく後ろ向きな…。途中で薬局にでも寄って薬買うか?でもまだ開いてる時間じゃないな。」

「走ってるうちに開いてる薬屋を見つけたら寄ってみよう…。」

「って、薬屋探してたら帯広まで着いちゃったねー。100km近く走ったんじゃないの?予想はしてたけどっ!」

「ん?なんか元気そうじゃねぇか?もう大丈夫なのか?」

「気持ち良い朝の景色を見てたら大分気分が良くなったかな?念のため薬飲んどこう。ドリンク剤も…。」

「薬のせいで眠くならないように気をつけろよ?」

音更に着いたけどさ、どこに一面の菜の花畑が有るってんだい、ええ?」

「おかしいねぇ。加曾利さんの情報によると、ものすごい菜の花畑があるそうなんだけど…まだなのかな?」

「黄色どころか茶色の地面しか見えないじゃん。それでも壮観だけどさ。咲いてたらさぞかし涙モノだろうなぁ。」
音更辺りの風景。向こうに見えるのは日高山脈。
「さぁって、これからトマムだな。昼飯は美味かったかよ?」
「トンカツがものすごくでっかくて美味かったなぁ!もうすっかり体調良くなったみたいだね!」

「おい、あそこにSLが有るぞ!ちょっと見に行こうぜ!」
トンカツ屋の傍になにげなぁく置かれてました。
「綺麗に保管されてるねーっ!通称デコイチって呼ばれる機関車だね。」
「見かけだったら新幹線よりもパワーありそうだなぁ。ま、おいらには及ばないけどさっ!」

「トマム周辺は線路沿いの道路で、面白かったねー!」

「少しだけだけど、列車と併走したもんな。子供が手を振ってたぜ。」

「それはいいけど、山の中にバカ高いビルが4棟建ってて、すごく異様な光景だったね。」

「トマムリゾートってくらいだから有名な観光地なんだろうな。」


「さぁて、いよいよ北海道ツーリングのハイライト、富良野だな!」

「花が咲いてないのがちょっと残念だけど、それでも楽しみだねっ!」

“北の国から”のセットは見に行くのか?」

「来たからには一応チェックしとこうよ。ル〜ル〜、ルルルルル〜、ルル〜♪」
五郎の家に向う途中の富良野の風景。
「この辺は景色の雰囲気が他所とどこか違うね。暖かい感じがすごくする。」
「そうかぁ?俺にはどこも変わりないように見えるけど゙なぁ?」

「他所は出来すぎって感じがしてたんだけど、ここにはそれが無い。
人が生活してるって匂いがするんだよね。」
「ふぅ〜ん、そういうものかねぇ?」

「おぉ〜、やっと咲いてる花を見つけたぜ!…って向日葵か。菜の花かと期待しちまったぜ。」

「向日葵だって綺麗じゃん!でも1面の、ってほど広い畑じゃ無いね。」

「ま、それでも本州じゃ滅多にお目にかかれない光景だけどな。おい、とっとと五郎の家に行こうぜ。」
富良野の向日葵畑。
「五郎の家まで行かないのかよ?」
「歩いて見に行くのメンド臭くなっちゃった。一応乗ったまま撮影場所見て周れたから良いよ、別に。」

「別に良いけどさ、話のネタにはならねぇぜ?それにしても傾斜の強いジャリ道だったからヘトヘトだぜ…。」

「あれ?また宿の予約をしたのか?」

「うん、昨日話したログハウス。料理も美味いらしいんで予約したんだけど、時間的に出来ないんだって。」

「でもまぁ、今夜は他のライダーと交流ってワケだ。やっとツーリングらしくなって来たじゃないの。」
「そうだね。ちょっと時間が空いてるから寄り道してこうよ。十勝岳温泉!」
「あいよ、眺めも良いみたいだし、行ってみるとするか。でも帰りは少し暗くなるかもよ?」

「黄昏の富良野ってのも良いと思うよ〜。」
十勝岳温泉から見た富良野。綺麗でした!
「いやぁ、良い湯だったぁ!真っ赤な湯で、山の向こうの層雲峡とは正反対の湯だったねぇ。」
「おい見ろよ、夕日が綺麗だぜ。」

「本当だ、もうちょっと晴れてれば最高だったね。」

「ここに宿泊すりゃ良かったな、時間的にもな。」

「う〜ん、やっぱり一人旅は飛びこみ宿泊が醍醐味かなぁ?」

「おい、いつになったら宿に着くんだよ?」

「ちょっと待って、その前に夕飯食べてかなきゃ。それにしても、あんまり店ないね。有っても閉まってるし。」

「まだ6時ちょい過ぎだぞ、おい。今の時期観光客が少ないのはわかるけど、それにしても早過ぎるぜ。」

「贅沢言わずにあそこのラーメン屋でガマンするとしよう。」

「どうだったよ、晩飯は?」

「豚丼ってメニューがあってね、豚肉てんこ盛りで美味しかったよー♪名物なのかな?」

「そういえばコンビニの弁当にもそんなのが有ったような気がするな。」

「さて、宿の方に向うとするか。」

「だからさ、いつになったら着くんだよ〜。さっきから同じ所を行ったり来たりだぜ?」

「ちょっと待ってよ、こんなに暗くちゃ地図も読めないし、宿の看板も暗くて判りにくいんだよぉ。」

「宿に電話して案内してもらえよ…。」

「えーと、上富良野から美馬牛方面に車で10分…この辺のはずなんだけどなぁ?もう一辺ひき返してみよう。」

「やれやれ…おい、ひょっとしてあの木造の看板、あれじゃないのか?」

「ウッディライフ…あ、間違いない!片方にしか看板出してなかったんだ!道理で判りにくいはずだよぉ。」

「しかも建物がかなり引っ込んだ所に有るしな。」

「北海道最後の宿だね。…でも他に停まってるバイクが無い…。もしかして1人?」


「おい、ぞうりなんか履いてどこ行くんだ?」

「ちょっと酒でも買いに。1人で貸し切りだからなんか寂しいなぁ…。全部丸太作りで面白いんだけど。」

「せっかく民宿にしたのにな。ところでこの辺には酒の自販機なんて無さそうだぞ?」

「え〜そんな殺生なぁ!風呂にも入って、今更お前に乗って買いに行くのも面倒だなぁ。」

「今日の所はジュースで我慢しときな。それにしても本業はレストランなんだから出してくれても良いのにな。」

「ま、民宿だからしょうがないよ。」

ログハウス二階から見た一階のレストランの風景。 これぞログハウスって感じの部屋です。う〜ん、ワイルド!
6日目 9月1日 (最上段へ)
「おはよう、シビタ!」
「10時半…出てくるの遅かったじゃん。今日は雨降りそうだぞ、覚悟しとけよ?」

「北海道ラストっていうのについてないなぁ。ま、今日は移動に徹するしかないね。」
「見ろよ、宿の主人が夫婦で見送ってくれてるぜ?」

「愛知県から出てきてこの宿を開いたんだってさ。富良野にはそういう人が多いらしいよ。」
「それって“北の国から”の影響なのか、逆にこういう土地だからあのドラマが生まれたのか、どっちだろうな?」

「どっちにしろ、人の心を引きつけて止まない魅力がここにはあるね。」

夕張に着いたぞ。夕張と言えば?」

「メロン!埼玉の姉宅に送ろうと思ってるんだ。」
「これでお土産は全部買い終わったな。」

「いや、会社へのがまだ残ってる。これはフェリーの中で良いや。」
「うっ、ついに雨が振り出しやがったな!チクショウ!」

「これから支笏湖、羊蹄山に向うんだけど、向こうの空は雲ばかり。」
「文字通りお先真っ暗って奴だな。さっさとカッパ着ろ、また風邪くぞ。」


「おい、前走ってるCB、あれ羅臼で見たカチアゲじゃねぇか?」

「あ、ホントだ!ヘルメットもシルバーで間違い無いよ。こんな所で会うなんて…。」

「北海道って広いようで狭いもんだな。」

「まぁ、皆同じようなルート通るからこんな事もあるんだろうね。」


「支笏湖の恵庭岳も羊蹄山も全然見えなかったねぇ。ガックシ…。」
「まぁ、そう肩を落すな。見ろよ前の道路。」

「雨で濡れて空の色を映してるね。それがどうしたの?」
「このまま走ると空に飛び出しそうに見えないか?」

「あ、本当だ!道の終わりが空に続いてるように見えるね!なんだか感動だぁ!」
「こんなシチュエーションは、本州じゃ見る事は出来ねぇだろうなぁ。」

「シビタってなんか詩人だね。機械とは思えないよ。」
「な、なに言ってんだ!俺の声が聞こえるお前の方が人間とは思えないぜ!」


室蘭に着いたよ。すごいね…。」
「すごいな…。道路が川状態だ。」

「足首まで水に浸かってるよ。しかも日が落ちて視界最悪。シールド開けるとコンタクト飛びそうになるし。」
「抜いてくトラックの跳ね水浴びて痛いくらいだぜ。FCR大丈夫だろうなぁ?」

「両膝でガッシリガードしてるから大丈夫だよ。」
「でもよぅ、水分吸ってかなり調子悪いぜ?アクセル戻しても回転落ちないだろ?すごく濃くなってるぞ。」

「これってワイヤーが戻らないのと違うんだね。かなり走りにくいよ…。」
「早いとこフェリーターミナルに行くとしようぜ、充分気をつけてな!」


「フェリーは時間通り出航するんだね。」
「こんな悪天候なのにな。今度は時間間違ってなくて良かったな、オイ。」

「ここで間違ってたら最悪だよ。時間が時間だし、泊まる宿も見つからない。」
「フェリーは相当揺れるだろうな。船酔いは大丈夫なのか?」

「バイクに乗ってる人間が酔うわけないだろぉ?」
「そんなものなのかっ?」

「さようなら北海道。また来年くるよ!花を沢山咲かせて待っててくれよ!」
7日目 9月2日 (最上段へ)
本州上陸!直江津港の沖合いで入港待たされた時はどうなるかと思ったぜ。」
「いやぁ、揺れた揺れた!船首に行ってみたらジェットコースターみたいだったよ!少し酔っちゃったけど…。」
「ったく、調子に乗るからそうなるんだよ。もう時間遅いからすぐ宿探しだな。直江津港の傍にあるのか?」

「高田駅周辺のビジネスにでも泊まるとするか。」
8日目 9月3日 (最上段へ)
「いよいよ今日で最後だな。相当疲れが溜まってるだろ?」
「体調は良いんだけど、肩と手首が結構キツイね。ま、なんとかなるだろ。」

「今日は何度も走ってる道だから、精神的にも楽だよな。でも志賀高原はどうやら雨みたいだぜ。」

「わぁ〜、もう雨はコリゴリだよぉー。国道走ってれば天気良いみたいだから、寄らずに行こうか。」

「標高高いから、雨降ってたらすごい事になってるだろうな。きっとまともに走らねぇぞ。」


ビーナスラインに寄ってくのか?」

「来月のS-Force信州ツーリングの下見を兼ねようと思ってね。」
「この辺は天気良いから、良い景色になってると思うぜー?」
ビーナスライン・霧ケ峰から見えた富士山。
「俺の思ったとおりだ。見ろよ、富士山が見えるぜ!ちっちゃいけど…。」
「うわぁー本当だ!こんな所からも見えるんだね〜♪」
「こんなに綺麗に晴れるのは夏場じゃ珍しいよな。良かったな、最後に最高の景色が見れて!」

「そうだねー、これって逆に北海道では見られない景色かもね。雲がすごく近く見えるもん。」
「本州だって捨てたもんじゃないよな。別に勝負してる訳じゃないけどさ。」

「ちょっと寄り道するよ〜!」

「おいおい、こんな所もS-Forceで走るのかぁ?“落石注意”の意味が良くわかるような道だなぁ!」

「いままでだだっぴろい道ばかり通ってきたから、かえってこんな道の方が楽しいんだよ〜。」
「…おぉ〜、真っ直ぐな道が!!トラクターとかも走ってて、ちょっと北海道っぽいな。」
「この辺は清里の東で川上村って言うんだけど、、昔は日本の米作最高所だったんだって。」
「こんな山奥で良く生活してるよな…って、現地の人達に失礼か…。」

「でも、その気持ちわかるよ。なんだか秘境を発見したって感覚だよね!」
「S-Forceのメンバーをここに連れてくるつもりか?」

「一緒に走る面子にもよるけどね。こういうとこはクロウト好みだからねぇ。」
「ま、狭い道があったりで、引いてしまう奴もいるかもしれないな。」
長野県川上村・信州峠付近。ぷち北海道って感じ。
「…着いたぞ、かずぼう…。」
「着いたね、シビタ。長かったね―。」
「走行は2,900km。西日本制覇ツーリングに次ぐ長距離だったな。」

「でも…実を言うと走破感はあの時の方が大きかったよ。」
「遠くまで走っていったって実感には乏しかったかもな。着いた時点で涙ぐんでたもんなぁ、お前。」

「う、うるさいよ!まったく、機械には感情ってモノが無いのかよー!」
「だ、誰も悪口言って無いだろぉ〜!ちょっと冷やかしゃぁ、すぐにすねるんだからよ〜、参っちまうぜ…。」

「ほら、カバーかけるぞ。来週には洗ってやるから、それまで我慢しときな。」
「うへぇ、この汚れた体で1週間我慢かよ〜。」

「文句言わないの。エンジン切るぞ、良いな?」
「…へいへい、さっさとやってくれ。」

「じゃぁお疲れ、シビタ!」
「お前こそ、お疲れさん!」

<カチッ、ノチャッ>

「………」

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